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子宮頸がん予防について

掲載日:2024.06.10

子宮頸がん予防について

子宮頸がんは、HPV(ヒト・パピローマウイルス)というウイルスが原因で起こるがんです。HPVは主に性交渉で感染し、感染が続くと細胞が異常になり、最終的には子宮頸がんになることがあります。この病気は世界中で報告されており、特にアフリカや東南アジアで多く見られます。ワクチン接種や定期的な検診を受けることで、子宮頸がんによる死亡を防ぐことができます。2018年にはWHOの事務局長が、各国での子宮頸がんによる死亡率を年間10万人あたり4人以下にすることを目指し、「子宮頸がんのない世界」の実現を掲げました

日本の子宮頸がんの現状

日本では子宮頸がんの発生率が高く、特にG7諸国の中で最も多いです。国内では年間11,000人が子宮頸がんを発症し、年間2,900人が亡くなっています。じつに日本では交通事故の死者より、子宮頸がんの死亡者数の方が多いのです。(2023年の交通事故死者数は2,678人、警察庁発表)この原因の一つとして、HPVワクチン接種率の低さが挙げられます。

HPVワクチンの安全性について

2009年に承認されたHPVワクチンですが、開始後から因果関係を突き止められない接種者の体調不良についてマスコミが副反応としてセンセーショナルに報道したため、社会にHPVワクチン忌避の風評が広がり、世論に押される形で厚生労働省の接種対象者への勧奨が一時的に中断されました。その結果、接種率が急激に低下し2013年には70%から1%未満に急落しました。現在の研究では体調不良とHPVワクチンの因果関係は見いだされず、2022年4月から厚生労働省による接種勧奨が再スタートしました。

HPVワクチン接種の意味

この2013年からのHPVワクチン未接種者の方々が大人になり、HPVに無防備な状態のまま性交渉する年代になっています。今後10〜20年の間に日本の子宮頸がんが今より更に増加することが危惧されています。若い世代が子宮や命を失う不幸をうけないよう、社会全体で取り組む必要があるのです。

HPVワクチンの種類と接種方法

現在、日本で接種できるHPVワクチンは以下の3種類があります
より多くの型に対応する9価ワクチン(シルガード)の登場により、有効性が高まりました。当院では4価ワクチンと9価ワクチンに対応しています。基本的に9価ワクチンをお勧めしています。

2価ワクチン(サーバリックス)

  • 対応ウイルス型:16型、18型
  • 効果:70~90%の予防効果
  • 接種回数:3回(初回、1ヶ月後、6ヶ月後)

4価ワクチン(ガーダシル)

  • 対応ウイルス型:16型、18型、6型、11型
  • 効果:70~90%の予防効果
  • 接種回数:3回(初回、2ヶ月後、6ヶ月後)

9価ワクチン(シルガード9)

  • 対応ウイルス型:16型、18型、6型、11型、31型、33型、45型、52型、58型
  • 効果:90%以上の予防効果
  • 接種回数:年齢によって異なる(15歳未満:2回、15歳以上:3回)

※9価ワクチンの定期接種化(無料)について(令和5年4月1日~)

令和5年4月1日から、9価ワクチン(シルガード9)が公費(無料)で接種可能になりました。2価または4価ワクチンの1回目または2回目まで接種している方は、9価ワクチンへの切り替えをすることができます。ただし、4価で2回目を行った方は基本的に4価ワクチンで終えることが原則です。

接種対象者

当院ではキャッチアップ接種を行います。以下の方が対象となります。

平成9年4月2日~平成20年4月1日生まれの女子(接種機会を逃した方は令和7年3月31日まで無料で接種可能)

接種方法と料金

HPVワクチンは通常2回または3回の接種が必要です。接種スケジュールは以下の通りです。当院では4価と9価ワクチンを取り扱います。

料金は基本的に無料です。

ガーダシル(4価)

  • 1回目:初回
  • 2回目:2ヶ月後
  • 3回目:6ヶ月後

シルガード9(9価)

  • 15歳未満:2回(1回目、6ヶ月後)
  • 15歳以上:3回(1回目、2ヶ月後、6ヶ月後)

積極的勧奨を差し控えていた間に定期接種の機会を逃してしまい、接種費用を自費で負担しすでに任意接種を受けた方は千歳市が接種費用を助成(償還払)します。詳しくは千歳市にお問い合わせください。

持ち物

母子健康手帳などの接種歴を確認できるものをお持ちください。

接種後の注意事項

他のワクチンと同じく接種後は、腫れ、赤み、発熱、だるさなど副反応が現れることがあります。異常が見られた場合は、すぐに医師に相談してください。

HPVワクチンに関する相談窓口

詳細な情報や相談が必要な場合は、千歳市または厚生労働省のリーフレット厚生労働省リーフレット 概要版をご参照ください。