健康コラム 〜食物アレルギー| 子どもと大人の違いと、アレルゲンの影響〜
掲載日:2024.04.15
最近多いのが食物摂取のあとの蕁麻疹などのご相談です。今日は食物アレルギーについてお話します。
食物アレルギーは、特定の食物を摂取した際に免疫系が過剰に反応し、さまざまな体調不良を引き起こす症状のことを指します。じんま疹もその1つですね。
年齢によってその症状や、反応するアレルゲンも変化します。今回は、子どもアレルギーと大人のアレルギーの違い、単独または複数のアレルゲンや環境条件が重なった時に出るものの違い、そしてアレルギーの検査についてお話します。
子どもと大人のアレルギーの違い
子どもと大人の食物アレルギーの最も大きな違いは、アレルギー反応を引き起こす食品や症状の種類です。
子どもと大人の食物アレルギーの違いと共通点
子どもの食物アレルギーは主に以下のような特徴があります。
- アレルギーを引き起こす食品: 子どもに多い食物アレルギーは、牛乳、卵、小麦、大豆、ピーナッツ、木の実などです。
- 年齢とともに免疫が変化して「症状が軽減(減感作)」することもあります。
一方、大人の食物アレルギーには以下のような特徴が見られます。
- アレルギーを引き起こす食品: エビ、カニなどの甲殻類、魚、ピーナッツ、木の実、果物や野菜などが含まれます。特に日本人には甲殻類アレルギーが多いとされています。
- 年齢とともに免疫が変化しますが「症状が新たに発症して固定化」することもあります。
症状はほぼ共通しており、 じんま疹、呼吸困難、嘔吐、下痢などがあります。重症化すると、全身の血管が広がり血圧低下をきたすアナフィラキシー反応を起こすことがあります。
大人になってからアレルギーを発症する場合、後天的アレルギーと呼ばれます。これは、免疫系が時間とともに変化し、またあるいは環境の変化やストレスなどにより、ある特定の食物に対するアレルギー反応が起きてしまうようになります。
単独のアレルゲンと複数のアレルゲン
アレルゲンは、アレルギー反応を引き起こす物質のことを指します。食物アレルギーの場合、アレルゲンは食品中の特定の成分(たとえば、特定のタンパク質)になります。
単独のアレルゲンによるアレルギー
単独のアレルゲンに対するアレルギーは、その名の通り、一つの特定の食物成分に対する反応です。例えば、ある人が卵のアレルゲンに反応する場合、その人は卵を食べるとアレルギー症状を示します。
複数のアレルゲンや環境条件が重なった場合のアレルギー
一方、複数のアレルゲンや環境条件が重なった場合のアレルギーは、複数の食物や環境要素が組み合わさることで反応が引き起こされます。このような状況は通常、より複雑な症状を引き起こす可能性があります。
例1:花粉症の人がリンゴを食べると、口の中がかゆくなるといった症状を引き起こすことがあります。これは、リンゴの中のあるタンパク質が花粉のタンパク質と構造が似ているため、体が誤ってリンゴを花粉と誤認し、アレルギー反応を起こす現象です。このようなケースでは、普段リンゴだけを食べても反応は起こらないかもしれませんが、花粉の季節にリンゴを食べると反応が起こる場合があります。つまり花粉+りんごが条件です。
例2:普段は小麦粉製品を食べても平気なのに、運動の前後に小麦粉製品を食べるとアレルギー症状が出る場合があります。これは運動により脂肪細胞からヒスタミンが遊離して、さらに小麦のタンパク質が関わりアレルギー反応をきたします。ここでは運動+小麦粉が条件です。
複合型の条件になるには他にも疲労、寝不足、かぜ、ストレス、月経前症状、気象条件、他の薬の服用などがあります。
アレルギーの検査
食物アレルギーの疑いがある場合、医師はいくつかのアレルギーテストを行うことがあります。
ここでは当院で行える検査と専門医で行う検査について説明します。
当院での検査
血液検査
血液検査は、体が特定のアレルゲンに対して生成した抗体(特にIgE抗体)を測定するために使用されます。抗体のレベルが高い場合、その人が該当のアレルゲンに対してアレルギー反応を示す可能性が高いと考えられます。
専門医に紹介する検査
皮膚刺激試験
皮膚刺激試験は、皮膚に微量のアレルゲンを適用し、その後の皮膚の反応を観察することでアレルギーを確認します。
食物負荷試験
食物負荷試験は、医療専門家の監視下でアレルギー症状を引き起こす可能性のある食物を少量から徐々に摂取していき、体の反応を観察します。このテストはリスクが伴うため、医師の指示が必要です。
まとめ
食物アレルギーは、子どもから大人まで、そして単一のアレルゲンから複数のアレルゲンに対する反応まで、多種多様です。もし自分自身や家族が食物アレルギーの症状を示している場合は、必ずかかりつけ医に相談し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。